食に関わる仕事をしていると、いろいろと考えさせられることが多いです。現代の日本では、お金さえ払えば誰でも食べ物が手に入ります。しかし、ちょっと考えてみて下さい。あなたが今、口に入れようとしている物は、どうやってあなたの元に来たか、想像したことはありますか？
たとえばお肉だったら何の肉でしょう。鶏？ 豚？ 牛？ 野菜だったら何の野菜でしょう。にんじん？じゃがいも？ 玉ねぎ？ それらは、どうやって出来たのでしょうか？
多分、動物でも野菜でも基本的には農家さんが一生懸命作ったものだと思います。
そして、それらは命です。その命を、私たちは頂いています。
もちろん、すべての生き物は何らかの命を頂かなければ生きていけないものです。しかし現代の我々人類は、豊かになり過ぎて、作るのが面倒くさい、惣菜を買ってくれば良いと、食べ物に対する敬意を払わなくなり、その結果食べ物を残したり賞味期限前でも、安易に捨ててしまったり、食べ物自体を粗末に扱っている例が見受けられます。
また日本は食品の輸入大国で、日本の食品の約７割は、外国から輸入したものです。
私たちは年間約５５００万トンの食糧を輸入しながら、その約３分の１の１７００万トンを捨てています。（２０１０年度調べ）
そして捨てているのは、外食産業やコンビニ等が大半だと思ったら、意外なことに半分以上にあたる約１０００万トンが、賞味期限切れ等で家庭から捨てられているのです。
その廃棄される１０００万トンは、世界の食料援助総量７４０万トンをはるかに上回り、３０００万人分（ 途上国の５０００万人分）の年間食料だそうです。
この家庭から出る残飯の総額は、日本全体で年間11兆円。これは日本の農水産業の生産額と、ほぼ同額だそうです。さらにその処理費用で、２兆円が使われているとも言われています。この試算は、僕は多少大げさだと思う部分もありますが、それにしても食に対して考えさせられます。
簡単に手に入る食べ物だからといって、簡単に出来た物だとは限りません。
私達の目の前に来るまでに、食べ物は長い道のりを経て、やっと届いた命の源だったりします。動物でも野菜でも、それぞれに生命があり、その命を頂かなければ我々は生きて行けません。ですから今一度、その流通経路や背景を考慮し感謝しつつ、ありがたく頂くこと。それが食に対する敬意だと思うのです。
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