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玄米は意外と近代になってから食べられるようになった?

a seed 発 元気になる食のおはなし Vol.08
玄米は意外と近代になってから食べられるようになった?
by Jeff Lau

その理由は…
そもそも玄米を炊き上げるには、白米に比べ燃料が3割以上も余分に必要な為、時間とコストを考え、炊くのは白米が主流だった。
歴史的にはすでに平安時代の木簡の中から白米が出土している事から、位の高い人はかなり早い時期から白米を食べていた。これは玄米より白米のほうが美味しいからですが、そのため脚気を患う貴族も多かったとのこと。
江戸時代後期以前は、米自体が貨幣であり高価だったので、地方では米は食べず、ヒエやアワ等の雑穀を主食としていた。

それらを含めて考えると、私達が気軽に玄米を食べられる様になったのは、案外調理器具等が発達してきた近代になってからのようです。

稲穂から白米にする、昔の方法は、以下のようだったと考えられています。
稲刈りの後、干して乾燥させた稲を「千歯扱き」で脱穀し稲穂から米部分を取る。
もみ殻を割るために、棒などで叩いて殻部分を割る。
玄米を取り出すために、初期の頃は手箕(竹で編んだバスケット状の農機具)で、自然の風等を使い選別していた。

江戸時代になると唐箕(とうみ)と呼ばれる手回し送風機が入った機器も普及していった。
精米する際は、必要量の玄米を臼に入れ杵でついて外側のでんぷん質を除去していた。

木臼の場合、精白歩合は最大でも9割程度だが、石臼だと精米歩合が8割くらいまで可能になった。そのため酒造関係には石臼で精米した物が好まれた。(現代は、精米歩合1%とかもあります)
洗米は、今よりも大量の米ぬかが残っていたので、炊飯前によく砥ぐ必要があった。

その他にも、唐臼(からうす)という臼に入れた玄米を足で踏んで体重を掛け、シーソーのように杵を持ち上げ落とす方法や、水車を使った精米方法がありました。ただ水車での精米はやり過ぎると、米から米粉になってしまう恐れがありますので、集落では使用時間の取り決めがあったようです。時間は、樽などを使った水時計等で、時間を計っていたようです。

江戸時代になると杵と臼を持ち歩き、その家の前で実際に好みになるまで精米してくれる米搗屋が出現したり、後に都市部では、米屋が店頭で先述の唐臼を使って、好みのつきかたで精米し販売してくれたりしていたそうです。

江戸時代

Writer’s Profile

Jeff Lau
Jeff Lau
現代自然派調理研究家●臨床検査会社に勤めていたところから、健康的な食事に興味を持つ。ひと粒の種がいつしか実り、より多くのみなさんと幸せを分かち合えるようになれたら、という思いから、「a seed」を設立。現在は食事と健康についての研究や、店舗プロデュース、プロ厳選食材の会員制通販事業をしている。

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