
パプリカの色の違いが気になったことはありませんか? パプリカが好きな方は、味の違いにも気がついていらっしゃるはず。ではどうしてこの色の違いが出てくるのか、味や栄養面も合わせて考えてみたいと思います。
*ピーマンとパプリカの関係*
日本では緑のものをピーマンと呼び、その他の色のものをパプリカと呼んでいると思うのですが、アメリカでは全て、”bell pepper”。辛いペッパーと区別するのに、”sweet bellpepper”と呼んだりもします。日本のものに比べると、かなり肉厚で大きいですね。特に甘いのが、ミニサイズのベルペッパー。さっと炒めるだけで、ほぼ味付けをしなくてもおいしくいただけるので、とても人気です。

*パプリカの色の違い*
ピーマンも含めて、パプリカの色の違いはどこから来るのでしょうか? 一言で言うなら、成熟度の違いです。緑色が一番未成熟で、黄色、オレンジ、赤と成熟度を増していきます。熟すほどに甘さも加味されるので、緑には苦味が残るものの、赤は一番甘い状態になって収穫されます。通常、緑のピーマンが一番安く、その他の色は、緑に比べるとやや割高。他の色はより長く育てないといけないので、手間がかかるというわけですね。
また、色の違いは値段の違いに反映されるだけでなく、栄養面でも差が出てきます。まだよく育ってないうちに収穫された緑のピーマンには、赤いパプリカほど栄養がそろってないのです。
黄色とオレンジのパプリカは、まさに成熟度の中間地点にあり、2色の違いにあまり差はありません。赤いパプリカは一番長い間、太陽の光を浴び続けて収穫されるので、甘さもさることながら、栄養価も考えると、値が張っても値打ちがあるというもの。未成熟の緑のピーマンと比べると、赤のパプリカには、ビタミンCが約2倍、ビタミンAも豊富で、ベータカロチンに至っては、約10倍も多く含まれ
ているそうですよ。
でもパプリカはどの色を取っても、リコピン等の抗酸化物質や、鉄分とか繊維もたくさん含んでいるので、とても栄養価の高い野菜であることには間違いありません。強いて赤いパプリカの難点を挙げると、一番成熟した状態で収穫されるので、そのままでは長持ちしないという点です。
一度に使いきれず冷蔵庫に入れても、すぐ切り口がヌルヌルし始め、弱ってくるのがわかります。私は残った物があれば、細切りにして、袋に密閉して冷凍保存しておきます。すると、何かの料理に混ぜるときにもすぐに使えて便利です。
ここまで、パプリカの色の違いをまとめると、成熟度、味(甘さ加減)、値段、栄養価の面から、

の順でその度合いを増していくということです。
お店で買うときは、できるだけ4つ割りになった形のものがよく、軸もしっかりしたものを選びましょう。洗わなければ、冷蔵庫で約1週間は持ちます。たくさん食べて栄養補給してくださいね。
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