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ココアパウダーの種類とその違いって?

なるほど!食の雑学 Vol.04
ココアパウダーの種類とその違いって?
by ソフィーMichie Onoyama
A Trip Down Memory Lane こころに残る四季折々の日本

ココアパウダーの違いについて考えてみましょう。製菓用にも微妙な違いがあるし、ドリンク用の他にも似た名前の物もあるので、説明していきますね。

【カカオパウダーとはどう違う?】

両方とも原料はカカオ豆で、焙煎する前に粉砕し、粉状にして豆の生の状態を保った物が、「カカオパウダー」。カカオの純粋な成分が残るので、鉄分やマグネシウムの他、抗酸化物質を豊富に含んでいます。

これに対し、カカオ豆を発酵させて乾燥後、砕いて皮を取り除いた物が「カカオニブ」

これを焙煎してココアバターの脂肪分をほぼ取り除き、粉末状にした物が「ココアパウダー」です。加熱処理を行うことによって失われるものもありますが、まだまだ健康効果は期待できます。

ココアパウダー
粉末状に

【ドリンク用と製菓用との違いは?】

ココアパウダーと呼ばれる物の中にも、ホットココアに使うとても甘いパウダーと、製菓用の純粋なパウダーとでは、大きな違いがあります。ドリンク用のココアミックスには、加工の過程で、脱脂粉乳や乳化剤に砂糖といった物が添加されるので、お菓子作りには向いていません。家で作るなら、粉ミルクと純粋なココアパウダーに粉糖と塩を混ぜ、粉砕したホワイトチョコも加えると、独自のココアミックスができますよ♪

ココアミックス

【製菓用の種類にはどんなものが?】

製菓用のココアパウダーにも、作る過程によって違いがあり、お菓子の仕上がりの色や、一緒に混ぜる他の材料にも影響します。基本形の「純ココアパウダー」は、酸性に傾いているので、菓子類を膨らませるためには重曹が必要です。これをアルカリ性溶液に浸けることでペーハーを中性にした状態が、「ダッチプロセス・ココアパウダー」。煉瓦色のような赤い褐色をしていて、この粉にはベーキングパウダーを組合わせて使います。

逆に考えると、もしレシピに種類が書いてない場合、重曹の記載があれば純ココアパウダーを使い、ベーキングパウダーの表記があれば、ダッチプロセスを使えばいいということです。後者は別名「ヨーロッパ・スタイル」とも呼ばれ、前者に比べて酸味が減って味がマイルドになり、よりチョコレートの風味を楽しめます。
 ここから更にアルカリ化を進めた物が、「ブラック・ココアパウダー」です。普通のチョコレート菓子には使いませんが、オレオ・クッキーのように黒い色を際立たせたいときに役に立ちます。

ココアパウダーの代用には、「キャロブ・パウダー」があります。これはカカオ豆からではなく、”carob”というマメ科の植物から作られています。豆の果肉を乾燥させて粉末状にした物で、チョコレートに風味が似ているため、チョコが苦手な人やアレルギーがある人でも使えるパウダーです。お菓子のレシピで、ココアパウダーとのストレートな置き換えはできませんが、少し工夫すると代用可能です。

いかがでしたか? ココアパウダーの違いが少し鮮明になったでしょうか。仕上がりや味わいの好みによって使い分けるといいのですが、お菓子作りには、できるだけ忠実にレシピを守った方が失敗が少なくていいと思います♪

Writer’s Profile

ソフィーMichie Onoyama
ソフィーMichie Onoyama
1987年、シアトルでアメリカ人の夫と出会う。一人息子が巣立った後、空の巣症候群対策として、2007年、洋菓子レシピのメルマガを始める。2017年には食生活解説ブログを開始。
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1987年、シアトルでアメリカ人の夫と出会う。一人息子が巣立った後、空の巣症候群対策として、2007年、洋菓子レシピのメルマガを始める。2017年には食生活解説ブログを開始。