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冷めるまで待って!レジスタントスターチの効果冷めるまで待って!

なるほど!食の雑学 Vol.05
冷めるまで待って!レジスタントスターチの効果冷めるまで待って!
by ソフィーMichie Onoyama
A Trip Down Memory Lane こころに残る四季折々の日本

レジスタントスターチって、そもそも何のことで、どんな食品に多く含まれているのでしょうか。成分にRS(レジスタントスターチの略)が多くても、加熱や冷却で数値は変化します。せっかくならダイエットや健康に有効活用したいですよね。

【RSが体に作用する仕組み】

英語の”resistant starch”は、日本語では「難消化性澱粉」と言います。人が食べ物を口にすると、普通は、「食道→胃→十二指腸→小腸→肝臓→大腸」という流れで消化されます。胃液や膵液で溶かされ、小腸で消化吸収されるのですが、RSが多いと消化の過程に抵抗するため、大腸まで届いて善玉菌の餌になり、腸内フローラを整えてくれるのです。

この真逆が、炭水化物に多い”simple starch”で、摂取後素早く消化吸収されるため、糖尿病や体重過多の原因になったりします。

RSの効果は研究途中で、エビデンスはまだ少ないものの、理論上、胃腸を整えて健康に寄与してくれそうです。

RS が多い食品

成分的に多い物は色々あるのですが、食品の元の状態で摂取しないとRSとして有効ではない物が多いのが難です。できるだけ馴染みのある食品で、日々の食事に応用できる物を取り上げて解説します。

《粉類》

断トツに多いのは「片栗粉」ですが、火を通すとレジスタントではなくなるので、ヨーグルトやスムージーに混ぜて使うといいでしょう。

あと、元の粉状態で多いのは「キャッサバ粉」。同じキャッサバ芋を原料とする物に、タピオカ粉がありますが、厳密には違いがあります。前者はキャッサバの根の皮をむいて乾燥させ粉状にした物で、後者は芋の澱粉のみを抽出して粉状にした物。RS値が高いのはキャッサバ粉の方です。

《穀類》

「押し麦」のRS数値は高いものの、加熱でその効果は失われる為、一晩冷蔵庫で寝かせて食べる”overnight oatmeal”にすると良いです。

「米」も、炊いた後、冷蔵するとRSの高い状態で食べることが可能。おにぎりにしておけばそのまま食べられます。精白米より玄米の方がRS値が高いので、玄米寿司とかお勧め。

ベトナム料理の生春巻きに使う「ライスペーパー」は、ふやかすだけでRSが高いまま摂取できそう。

《豆類》

「緑豆」や「黒豆」にはRSが多いのですが、リスや鳥でもない限り、生では食べませんよね。

調理済でも効果を期待できるのは「白豆」で、缶詰ならサラダに使えます。生で簡単に食べられるナッツ類では、「カシューナッツ」にRSが多いです。

《野菜果物類》

「熟していないバナナ」はRS値が高いです。「ポテト」は調理後、冷めてから食べるとRSを多く摂ることができます。

より具体的には、じゃが芋はローストして冷ました方が、蒸してから冷ますよりRSの量が3倍に増えるそうです。

【まとめと注意】

RSが多くても生の状態で食べないと効果がない物や、加熱しても冷ますことによってRSが増える物など色々。

ただIBSと言われる過敏性腸症候群の場合、大腸を必要以上に刺激するので注意が必要です。何でもバランスですね。

Writer’s Profile

ソフィーMichie Onoyama
ソフィーMichie Onoyama
1987年、シアトルでアメリカ人の夫と出会う。一人息子が巣立った後、空の巣症候群対策として、2007年、洋菓子レシピのメルマガを始める。2017年には食生活解説ブログを開始。
メルマガ無料購読は mag2.com/m/0000246262.html

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1987年、シアトルでアメリカ人の夫と出会う。一人息子が巣立った後、空の巣症候群対策として、2007年、洋菓子レシピのメルマガを始める。2017年には食生活解説ブログを開始。