

現在日本クリニックでは、50才以上の患者さんを対象に、帯状疱疹の予防接種を行っています。そこで今回は、帯状疱疹、及びその予防接種の話です。
Q:帯状疱疹とはどんな病気ですか?
帯状疱疹とは、水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に出る皮膚疾患です。特徴は強い痛みを伴うことです。症状は通常3~4週間ほど続き、夜眠れないくらいの、強い痛みの場合もあります。また、顔や耳に出た場合は、顔面神経麻痺や難聴になることもある、厄介な病気です。
更に、帯状疱疹後神経痛と呼ばれる痛みが残る場合もあり、強い痛みが1年以上続く例もあります。私自身、帯状疱疹で苦しむ患者さんを今まで多く診ています。
Q:帯状疱疹の原因は何ですか?
水疱瘡と同じヘルペスウイルスが原因ですが、過去に水疱瘡になっていても、年齢と共に免疫は弱まってしまうため、帯状疱疹を発症する可能性があります。また、水疱瘡や帯状疱疹が改善しても、ウイルス自体は消失するのではなく体内に残るので、疲れていたりして免疫力が落ちている際に、帯状疱疹を発症する事があります。
完全にウイルスを排除することは基本的にできないのが、帯状疱疹の厄介なところです。
Q:帯状疱疹になった際に大事なことは何でしょうか?
発症後72時間以内に内服薬の服用を開始しないと、あまり効果がないと言われています。ただ厄介なのが、帯状疱疹の特徴である赤い発疹が出現するのが、発症後2-3日かかる場合があるので、発疹が出てから受診しても内服薬開始72時間に間に合わない場合がある事です。赤い発疹が出る前の段階で、電気の様なピリピリする痛みが発生する事があるので、患者さんには「ピリピリする痛みが皮膚の表面あたりに出てきた、またそれが体の片側の場合は、発疹が出ていなくてもすぐ受診して内服薬を開始するのが大事です」といつも言っています。ちなみに、「片側だけ」というのが大きなポイントです。帯状疱疹は必ず体の右か左の片側だけに発生します。もし体の真ん中にまたがって痛みや発疹がある場合は、帯状疱疹ではありません。

Q:その厄介な帯状疱疹の対策はどうすればいいのでしょうか?
そこで、本日のテーマとなる帯状疱疹の予防接種が一番の対策となります。以前に帯状疱疹になった事がある方も再度発症する可能性があるわけですが、その発症予防にもなります。
2017年に新しく出た帯状疱疹ワクチン(商品名Shingrix)は、90%以上の感染予防効果があり、以前からある帯状疱疹ワクチンの50%前後の予防効果よりも、明らかに高くなっています。一般的な予防接種と同じ不活化ワクチンで、コロナで使用されるmRNAワクチンではありません。対象年齢は日米ともに50歳以上です。2~6ヶ月あけての計2回接種で、費用は日本では2回で2~3万円と安くありません。地域によっては少し補助金が出る場合もあります。
ですが、アメリカでは一般的な保険で費用がカバーされますので、是非アメリカにいる間に接種することをお勧めします。ただ、メディケアは残念ながらカバーされないので、300ドルほどかかってしまいます。
Q:帯状疱疹ワクチンに関しての注意事項はありますか?
副反応が強めに出る方が一部に認められます。倦怠感はおおよそ4割の患者さんに出るようですので、「接種後2~3日は無理のない予定を組んでおいた方がいいでしょう」と、患者さんにはいつも伝えています。また、注射部位の痛みや腫れが出る事も多いようです。
以上を踏まえた上、帯状疱疹の予防接種をご希望の方は、日本クリニックにご予約をお入れ下さい。

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