
欧米での、子宮頸がんワクチンの良好な効果の報告が昨年日本でも報道され、現在多くの患者さんが日本クリニックで子宮頸がんワクチンを接種されています。そこで、今回は子宮頸がんワクチンの話です。
子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(Human Papilloma Virus)感染症とは?
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。
子宮頸がんや膣がんなどの発生に関わっています。特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えています。重要な点は、年齢とともに増加する一般的な癌とは異なり、子宮頸がんは感染が主な原因となることです。
男性も増加傾向です!
子宮頸がん発症の原因となるHPVの感染が、男性に多い中咽頭がんの発症に大きく関与しているということをご存じでしょうか?
近年、HPVの感染が原因で起こる中咽頭がんが世界的に急増しているというデータが出ています。もちろん日本も例外ではありません。奥様が若い頃にHPVによる子宮頸がんの手術後、ご主人がHPVによる中咽頭がんの手術をした例もあります。
そのため、日本以外の国ではHPV感染予防、及びがん予防のために、男性でもHPVワクチンを接種します。

子宮頸がんにならないようにするために大事なことは何でしょうか?
残念ながら、HPVの治療薬は存在しません。
私の患者さんの中にHPV感染中の方が現在も複数いますし、すでに子宮頸がんの手術が済んでいる方で未だにHPVが検出される方がいます。「なんとか自然に消えてくれるといいんですけどね」と患者さんには言うしかない状況です。
つまりは、ワクチン接種が一番の子宮頸がんの予防ということになります。

HPVワクチンの種類と回数は?
15歳未満では抗体ができ易いとのデータがあるため、アメリカでは9才から15才未満は2回接種。15才以上は3回接種となります。日本では、年齢に関係なく10才以上に3回接種を行います。つまり、15才未満であればアメリカの方が少ない回数で済みます。
また、アメリカは9種類のHPVウイルスの感染予防効果がある9価ワクチンですが、日本はまだ2価か4価のみの投与となっています。なので、アメリカでの接種を是非おすすめします。
HPVワクチンの効果は?
オーストラリア・イギリス・米国・北欧などの国々では、HPV感染や前がん病変の発生が有意に低下していることが報告されています。NEJM誌2020年10月1日号に掲載されたスウェーデンの論文によると、17才までに接種した方の子宮頸がんの発症率が約90%減少していたと報告されました。一方、日本国内では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が死亡しており、2000年以降、患者数も死亡率も依然増加しています。
ワクチンの安全性は?
日本産婦人科学会は「これまでに行われたHPVワクチンに関する多くの臨床研究を統合解析したコクランレビューでは、HPVワクチン接種によって短期的な局所反応(接種部位の反応)は増加するものの、全身的な事象や重篤な副反応は増加しないと報告されています。世界保健機関(WHO)も世界中の最新データを継続的に評価し、HPVワクチンの推奨を変更しなければならないような安全性の問題は見つかっていないと発表しています。」と述べています。
以上、ご自身の子供さんたちが将来子宮頸がんや中咽頭がんにならないために、是非子宮頸がんワクチン接種をご検討下さい。日本クリニックでは、9才以上の患者さんを対象に子宮頸がんワクチン(HPV Vaccine)の接種を行っていますので、ご希望の方はご予約をお入れ下さい。
Writer’s Profile

関連記事
お肌の乾燥がますます気になるこれからの季節。 いつでもうるうるのお肌をキープしていたいもの。 手や唇、顔の乾燥に気づいたら、すぐに保湿したいですよね。 今回は、そんな時に役立つ、バッグの中にしのばせておくだけで気分が上が […]
高級デパートまで、さまざまな商品が揃っています。 数ある中から、最強で魅力的なデオドラント製品をご紹介します。是非お試しください。 デオドラントは制汗効果も高く、香りを楽しむタイプのものが豊富なので、好みの香りで一日中フ […]
夏の強烈な紫外線ダメージで毛穴が弱ったまま、乾燥の季節を迎えるのは超危険!今回は男女共通の悩みである、毛穴トラブルの対処法について紹介します。 厳しかった夏の日差しも、秋風とともに和らいできた今日この頃。夏の過酷な紫外線 […]
誰もが『自分らしく自由に使えるように』という想いが込められた、パートナーと一緒に使いたい『ジェンダーレス・スキンケアアイテム』。筆者が厳選したアイテム13点を、ご紹介いたします。 今や「ジェンダーレス」というワードはファ […]
by Shinji アメリカに来てから髪の毛が傷んだ・・・という方は男性、女性問わず多いのではないでしょうか?今回はそんな方のために、トップスタイリストのShinjiさんにダメージヘアを修復させるアイテムとその方法をお聞 […]
広いアメリカではアレルギーの季節も様々でしょうが、最近、鼻がむずむずして春を感じられている方はいらっしゃいませんか?症状も人それぞれ、薬も種類が多く、どの薬を選んだらいいか迷われる方も多いと思います。また、アメリカでは多 […]
二の腕(上腕三頭筋)だけ鍛えても緩い腕は解決できない。 二頭筋の引き締まりがあってこそ魅せる腕は完成する! 1 2つのバッグに雑誌や本を数冊入れる。15回でキツくなる程度の重さ。 2 手のひらを前に、バッグ(またはダンベ […]
少しずつ春の訪れを感じるようになりましたね。私は、春と秋には衣替えの様に”メイク替え“をするようにしています。 決めた時期にメイクも見直していかないと、一年中いつも同じ色やメイクアイテムになってしまい、顔だけが通年一緒の […]
近年、日本で話題となっている「化粧水不要論」。では、化粧水を使わないスキンケアとはどうやるのか? 何を使ったらいいのか? 今回はその方法や、化粧水に替わるアイテムをご紹介したいと思います。 近年、日本のSNSでは、インフ […]
春が来ると、メイクも華やかにチェンジしたくなりますよね。おしゃれなオトナ女子なら、トレンドはやはり気になるもの。今回は、今年のトレンドの中から、オトナ女子にピッタリな春コスメと、メイクの方法をご紹介したいと思います。 2 […]
こんにちは! Ellyです! 美容や健康、いろいろやっているのに結果が出ない!そんな方へ、今日はあなたの若々しさや健康の「突破口」となるお話しをしたいと思います。 実は「若さや健康」は、あなたの体にコレがないと、理想には […]
こんにちは! Ellyです! パーティーシーズン真っ只中! お酒を楽しむ方も多いのではないでしょうか? しかし、お酒を飲みすぎると太る! と心配されている方も多いと思います。お酒は飲んだ翌日が大事! 翌日のケアを知ってお […]
おすすめ記事
歴史上の人物の顔を見て「イケメンだ」と思ったことはないでしょうか。現在の女性が格好いい男性に憧れるように、昔の女性も「イケメン」に熱狂しました。その「イケメン」が現実に世界を変えるような活躍をしていたら。憧れを超えて心酔 […]
8月はまだ暑い日が多いけれども、秋を感じる涼しい日が少しずつ増してくる。涼しくなると恋しくなってくるのがニューイングランド名物クラムチャウダーである。 ボストンではチャウダーといえばクラムチャウダー。マンハッタンスタイル […]
by Jun 東京在住の52歳。ランニングを始めたのは25歳です。当時はヘビースモーカーで、「ランニングをして肺がゼエゼエ苦しくなったら、さすがに身体が『タバコをやめよう』と感じるのでは?」と思ったのがきっかけです。夜、 […]
ついつい子どもの行動が気になって注意してしまう。子どもがいうことを聞かないと感情的になってしまう。大声で怒ってしまう。そんなことありますよね。人間誰もが完璧ではありませんし、いつも自分の調子がいいわけでもない。余裕を持っ […]
ウォルマートやターゲット、コストコやメイシーズなどの量販店に行くと、エントランスやレジ付近にカスタマーサービスがありますよね。特に、最も個人消費が伸びるホリデーシーズン後のカスタマーサービスは行列で溢れかえります。これ、 […]
新着記事
ルート66─通称”マザーロード”。古き良きアメリカ文化を優しく抱擁する、母なる道。1926年から1985年までイリノイ州シカゴ~カリフォルニア州サンタモニカまで8つの州と300以上の町を繋げていた […]
お肌の乾燥がますます気になるこれからの季節。 いつでもうるうるのお肌をキープしていたいもの。 手や唇、顔の乾燥に気づいたら、すぐに保湿したいですよね。 今回は、そんな時に役立つ、バッグの中にしのばせておくだけで気分が上が […]
高級デパートまで、さまざまな商品が揃っています。 数ある中から、最強で魅力的なデオドラント製品をご紹介します。是非お試しください。 デオドラントは制汗効果も高く、香りを楽しむタイプのものが豊富なので、好みの香りで一日中フ […]
夏の強烈な紫外線ダメージで毛穴が弱ったまま、乾燥の季節を迎えるのは超危険!今回は男女共通の悩みである、毛穴トラブルの対処法について紹介します。 厳しかった夏の日差しも、秋風とともに和らいできた今日この頃。夏の過酷な紫外線 […]
誰もが『自分らしく自由に使えるように』という想いが込められた、パートナーと一緒に使いたい『ジェンダーレス・スキンケアアイテム』。筆者が厳選したアイテム13点を、ご紹介いたします。 今や「ジェンダーレス」というワードはファ […]
by Shinji アメリカに来てから髪の毛が傷んだ・・・という方は男性、女性問わず多いのではないでしょうか?今回はそんな方のために、トップスタイリストのShinjiさんにダメージヘアを修復させるアイテムとその方法をお聞 […]
みなさま、こんにちは。春の陽気がここちよいですね。昨年末「菓銘をもつ生菓子(練り切り)」が、文化庁「登録無形文化財」となりました。和菓子には、団子や羊羹という種類の名前のほかに、「菓銘」という「名前」が付けられているもの […]
あけましておめでとうございます。新年を晴々しい気持ちで迎えられたことと思います。本年もアメリカで楽しめる和菓子のレシピやエッセイをご紹介させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。 お正月がすぎると寒の入り。 […]
みなさま、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。11月、霜月となりました。今年も残すところわずかですね。日に日に寒暖の差も激しくなってきますので、今号では温かい和風スフレのレシピをご紹介します。スフレは17世紀のフランスで […]
みなさま、こんにちは。まだ暑さの残る日もありますが、少しずつ秋を感じるようになりましたね。和菓子も葛や寒天を使ったものは終わり、秋のものが並びはじめます。秋の花は数ありますが、この時期、一番使われるのはやはり「菊」でしょ […]
みなさま、こんにちは。七月に入り、本格的な夏の到来を感じますね。大気は蒸し暑く、大地が潤う夏。こんな汗ばむ陽気には、冷たいお茶とデザートが恋しくなりますね。今号では、のどをひんやり潤わす「冷やし抹茶しるこ」のレシピをご紹 […]
みなさま、こんにちは。風薫る五月、新緑が美しく、心地よい季節となりました。Q TiMEでは和菓子のレシピと、和菓子にまつわる話のコラムを交互でご紹介させていただきますが、今号では銘菓八ッ橋と五月の花「カキツバタ」のコラム […]