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男の子も女の子もアメリカで子宮頸がんワクチンを!

健康ニュースレター Vol.05
男の子も女の子もアメリカで子宮頸がんワクチンを!
by 日本クリニック
日本クリニック 健康ニュースレター

欧米での、子宮頸がんワクチンの良好な効果の報告が昨年日本でも報道され、現在多くの患者さんが日本クリニックで子宮頸がんワクチンを接種されています。そこで、今回は子宮頸がんワクチンの話です。

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(Human Papilloma Virus)感染症とは?

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。
子宮頸がんや膣がんなどの発生に関わっています。特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えています。重要な点は、年齢とともに増加する一般的な癌とは異なり、子宮頸がんは感染が主な原因となることです。

男性も増加傾向です!

子宮頸がん発症の原因となるHPVの感染が、男性に多い中咽頭がんの発症に大きく関与しているということをご存じでしょうか?

近年、HPVの感染が原因で起こる中咽頭がんが世界的に急増しているというデータが出ています。もちろん日本も例外ではありません。奥様が若い頃にHPVによる子宮頸がんの手術後、ご主人がHPVによる中咽頭がんの手術をした例もあります。

そのため、日本以外の国ではHPV感染予防、及びがん予防のために、男性でもHPVワクチンを接種します。

男性

子宮頸がんにならないようにするために大事なことは何でしょうか?

残念ながら、HPVの治療薬は存在しません。
私の患者さんの中にHPV感染中の方が現在も複数いますし、すでに子宮頸がんの手術が済んでいる方で未だにHPVが検出される方がいます。「なんとか自然に消えてくれるといいんですけどね」と患者さんには言うしかない状況です。

つまりは、ワクチン接種が一番の子宮頸がんの予防ということになります。 

ワクチン

HPVワクチンの種類と回数は?

15歳未満では抗体ができ易いとのデータがあるため、アメリカでは9才から15才未満は2回接種。15才以上は3回接種となります。日本では、年齢に関係なく10才以上に3回接種を行います。つまり、15才未満であればアメリカの方が少ない回数で済みます。

また、アメリカは9種類のHPVウイルスの感染予防効果がある9価ワクチンですが、日本はまだ2価か4価のみの投与となっています。なので、アメリカでの接種を是非おすすめします。

HPVワクチンの効果は?

オーストラリア・イギリス・米国・北欧などの国々では、HPV感染や前がん病変の発生が有意に低下していることが報告されています。NEJM誌2020年10月1日号に掲載されたスウェーデンの論文によると、17才までに接種した方の子宮頸がんの発症率が約90%減少していたと報告されました。一方、日本国内では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が死亡しており、2000年以降、患者数も死亡率も依然増加しています。

ワクチンの安全性は?

日本産婦人科学会は「これまでに行われたHPVワクチンに関する多くの臨床研究を統合解析したコクランレビューでは、HPVワクチン接種によって短期的な局所反応(接種部位の反応)は増加するものの、全身的な事象や重篤な副反応は増加しないと報告されています。世界保健機関(WHO)も世界中の最新データを継続的に評価し、HPVワクチンの推奨を変更しなければならないような安全性の問題は見つかっていないと発表しています。」と述べています。

以上、ご自身の子供さんたちが将来子宮頸がんや中咽頭がんにならないために、是非子宮頸がんワクチン接種をご検討下さい。日本クリニックでは、9才以上の患者さんを対象に子宮頸がんワクチン(HPV Vaccine)の接種を行っていますので、ご希望の方はご予約をお入れ下さい。

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