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抗アレルギー薬

クスリのいろは Vol.02
抗アレルギー薬
by 尾中景子
クスリのいろは

広いアメリカではアレルギーの季節も様々でしょうが、最近、鼻がむずむずして春を感じられている方はいらっしゃいませんか?症状も人それぞれ、薬も種類が多く、どの薬を選んだらいいか迷われる方も多いと思います。また、アメリカでは多くの抗アレルギー薬が処方箋なしでもOTC薬*1として買うことができます。OTC薬でも効果がなかった場合には、ステロイド薬や他の治療が必要になるケースもありますが、今回は、主に薬局で買える抗アレルギー薬の特徴を知って、自分に合った薬選びに役立ててください。

アレルギーとは

ウイルス、細菌、花粉、ホコリ、化学物質などの異物から身を守るために免疫が過剰に働いたり、異常を起こした状態がアレルギーです。アレルギー反応が起こると、体内でヒスタミンが放出されます。抗アレルギー薬は、ヒスタミンが受容体と結合する部分をブロックして症状を軽くします。脳に移行して眠気やふらつきが強く出る第一世代抗ヒスタミン薬と、脳に移行せず眠気や口渇などの副作用が少ない第二世代抗ヒスタミン薬に分類されます。副作用の観点からも、現在は主に第二世代抗ヒスタミン薬が多く使われます。

薬局で買える抗アレルギー薬

第一世代の抗ヒスタミン薬は、眠気やふらつき、口渇、便秘、排尿困難などの副作用が強く、緑内障、前立腺肥大症の方は避けてください。様々な風邪薬に入っていることが多いので注意。主な商品名は、Benadrylベナドリル(一般名:Diphenhydramine ジフェンヒドラミン、日本の商品名:レスタミン)や、ChlorTrimeton クロールトリメトン(一般名:Chlorpheniramine クロルフェニラミン、日本の商品名:ポララミン)などがあります。一方、副作用が軽減・改善された第二世代抗ヒスタミン薬は、それぞれの薬の効果や副作用は、用量や体調、個人によって差があります。また、大人と子どもでは、吸収・代謝能力の違いから用法用量が違います。今回は大人向けの比較になります。1日何回服用か、値段、使用感(表参照)などによって好みが分かれます。日本で多く使われるアレロックとタリオンは、アメリカでは取り扱いがありませんが、点眼液などでは使用されています。

クスリに頼る前にできること

抗アレルギー薬は、どれも対症療法であり、アレルギーの根本を治すものではありません。アレルギー症状は免疫と大きく関係し、その免疫は自律神経の影響も受けます。薬だけに頼るのではなく、食生活に気をつけたり、規則正しい生活を心がけ、腸内環境を整えて免疫力を上げましょう。中医学の考えでは、脾胃*2の状態によって免疫や粘膜、水分代謝が調整されると考えられます。消化のよいものを心がけ、よく噛んで食べましょう。また、鼻腔内の炎症を抑えるための鼻洗浄や保湿なども効果的です。クスリと上手につきあって、快適な春をお過ごしください。

抗ヒスタミン薬の効果と眠気の強さの相関図
抗ヒスタミン薬の効果と眠気の強さの相関図
一般名 主な商品名
特徴
セチリジン
Cetirizine
ジルテック
Zyrtec
眠気は個人差あり
フェキソフェナジン
Fexofenadine
アレグラ
Allegra
眠気なし、作用マイルド
ロラタジン
Loratadine
クラリチン
Claritin
眠気なし、作用マイルド
一番安い
レボセチリジン
Levocetirizine
ザイザル
Xyzal
眠気なし。ジルテックの改良版
で、より少量で効果持続あり
デスロラタジン
Desloratadine
クラリネックス
Clarinex
クラリチンの改良版、
眠気なし、処方が必要

Writer’s Profile

尾中景子
尾中景子
日本の薬剤師・米国NAHA認定アロマセラピスト。NPOがんのママをささえ隊ネットワークETERNAL BRIDGE活動。自然の恵みをチカラに。季節を愉しむワークショップ開催中。
Instagram:kokopellihealing_az

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