
いつの時代、どこの場所にも、規模の大小問わず詐欺師はいるものです。達者な口でカネを集めてドロンしたり、美貌を活かして相手を虜にしてカネを奪ったり。高齢者から金を騙し取る「オレオレ詐欺」も、これだけ認知されているのにまだ健在です。
今回は歴史に名を遺す詐欺師の巧妙な手口を紹介します。
エッフェル塔を売った ヴィクトール・ルースティヒ
1925年、新聞で「エッフェル塔が老朽化し、政府が対応に苦慮している」というニュースを見たチェコ人、ヴィクトール・ルースティヒは金儲けのアイデアを思いつきました。
彼は政府関係者を装って、スクラップ会社5社を呼んで打ち合わせでこう言います。
「パリ市当局はエッフェル塔の解体を既に内々で決定した。ついてはスクラップを引き取ってくれる業者を探している。計画は漏らさず内々にすべし」。
ルースティヒは、商談に積極的なポアソンという男をターゲットに話を進め、落札するにあたっての賄賂を要求。ポアソンは落札のために賄賂を渡しますが、すぐにルースティヒはフランスから逃亡。騙されたと分かっても、ポアソンは賄賂を渡した手前、警察に届け出ることができずに泣き寝入りをしたのでした。

公式印刷所で偽札を刷った アルヴェル・レイス
ポルトガル人のアルヴェル・レイスは、植民地アンゴラで大胆な詐欺計画を実行しました。それは公式印刷所で偽札作りを行うというものです。
「アンゴラ救済のための紙幣増刷計画」と偽りの計画をぶちあげ、架空の政府直属機関を立ち上げました。そして偽の契約書を作り、実業家に協力を依頼します。マランという人物がこの計画に騙され、ポルトガル政府公式の紙幣印刷所であるロンドンの「ウォーターロー商会」と交渉し、約20万枚の紙幣を刷らせることに成功しました。これは現在の日本円に換算すると、5,000億円にも及びます。
しかし紙幣に刷られる固有番号の組み合わせの誤りに気づいた地方銀行員の告発から犯行が発覚し、レイス含め関わった人物は全員逮捕されました。

ありもしない抗争でカネを得たテレザ・ハンベール
テレザ・ハンベールはアメリカで「架空法廷」によって多額のカネを得た詐欺師として知られます。彼女の手口は非常に手が込んでいました。
彼女はアメリカの大富豪「ヘンリー・クロフォード」という架空の人物を作り出し、莫大な遺産を相続する予定と周囲に触れ込みます。次に、クロフォードの甥と名乗る2人の男(もちろんテレザの指示で動く人物)がテレザを訴え、財産争いを法廷に持ち込みます。そして「この法廷に勝ったら莫大なカネが手に入る」として銀行から多額の融資を受けたのです。
テレザはこの架空法廷を20年にも渡って演じ続け、その間も銀行からカネを得続けました。裕福になったテレザは、さらなる富を求めて保険会社を立ち上げ資金を集めました。しかしこの保険会社の経営の怪しさに疑問を持ったジャーナリストの調査によって真実が明らかになり、テレザは逮捕されました。

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