
新型コロナウイルスは2023年現在、かつてのような深刻な脅威ではなくなっています。その理由の一つには、迅速なワクチンの開発があります。かつて多くの命を奪った病気を、ワクチンによって撲滅させた偉大な医学者を紹介します。
「近代免疫学の父」エドワード・ジェンナー
エドワード・ジェンナーは1796年、イギリス・グロスターシャー州バークレーの農民の「牛痘にかかった者は天然痘にかからない」という言い伝えを検証しようと、牛痘にかかった人の水疱瘡の膿を採取し、8歳の少年の腕の切開部に挿入しました。すると彼は天然痘に罹患しなかったのです。これが人類初のワクチンであるとされています。1798年、ジェンナーはラテン語で牛を意味する“vacca”から“vaccine”という言葉を造語しました。ジェンナーはワクチンを発明した功績で「近代免疫学の父」と称されます。

「近代細菌学の開祖」ルイ・パスツール
ルイ・パスツールは1879年、長期に人工培養した鶏コレラの細菌が病原性を失うことを発見しました。彼はこの原理を応用し、当時欧州で猛威を振るっていた炭疽菌の病原性を失う条件を発見して培養し、1881年に70頭の家畜に予防接種を行い成功させました。この成功を受けてパスツールは感染症病理学の分野をも開拓し、最初の狂犬病ワクチンも開発しました。微生物が発酵や病気の原因となることを発見した功績から、パスツールは「近代細菌学の開祖」と称されます。

ペニシリンを発見したアレクサンダー・フレミング
1928年、アレクサンダー・フレミングはインフルエンザウイルスの研究をしていた時、ブドウ球菌の培養プレートの上に偶然カビが発生し、そのカビが自分の周りに細菌のいない円を作っているのを発見しました。さらなる実験で彼は、カビの培養物を800倍に希釈してもブドウ球菌の増殖を防ぐことを発見しました。彼はこの活性物質をペニシリンと名付けました。フレミングはペニシリン量産化に乗り出しますが成功せず、1940年に別の研究グループが成功させました。ペニシリンは第二次世界大戦中に多くの兵を感染症から救いました。1945年にフレミングはノーベル医学生理学賞を受賞しました。

ポリオワクチンの開発者ジョナス・ソーク
ポリオは神経系の急性ウイルス感染症で、発熱や頭痛などの全身症状に始まり、手足や喉、胸部の筋肉を麻痺させます。20世紀半ばには毎年何十万人もの子どもたちが罹患していました。アメリカの医学者ジョナス・ソークは、いくつかのポリオウイルス株をサルに与え、抗体を形成させる実験に成功。ポリオワクチンを開発し、1952年と1954年に人間の子どもを対象とした大規模な実験を行い、安全にポリオの発生を減少させることを証明しました。1955年にワクチンは全米で発売され、その後アメリカでのポリオの発生率は人口10万人あたり18人から2人以下に減少しました。
Writer’s Profile

関連記事
新型コロナウイルスは2023年現在、かつてのような深刻な脅威ではなくなっています。その理由の一つには、迅速なワクチンの開発があります。かつて多くの命を奪った病気を、ワクチンによって撲滅させた偉大な医学者を紹介します。 「 […]
次の四字熟語の構成はどのようになっていますか? 後ろのア~エから選んでください。 1.我田引水2.花鳥風月3.悪戦苦闘4.前代未聞5.針小棒大6.晴耕雨読7.喜怒哀楽8.厚顔無恥 ア 意味の似た二字の熟語二組を重ねたもの […]
観光客が多く訪れる有名建築物の中には、本来の目的とは別の役割を担っていたことがあります。今では使われなくなって忘れ去られた機能をご紹介します。 エッフェル塔 = 科学実験場 エッフェル塔の頂上には、設計者ギュスターヴ・エ […]
「今日こそは子どもを勇気づけよう、イライラしないでいよう。」そう思っていても、急いで学校に行きたいのに玄関先で子どもがグズったり、疲れている上に限られた時間でバタバタしている夕方には、イライラママに大変身。アドラーで学ん […]
英語のなぞなぞです。「あ、知ってる」というものもあるかもしれませんし、「言われてみれば」となるものもありそうですね。お楽しみください。 (1) I grow down as I grow up. What …
「コーラと人気を二分する」とまでは言い過ぎですが、ドクターペッパーには熱狂的なファンが多くいます。アメリカ・テキサス発のこの人気炭酸飲料の歴史を見ていきましょう。 ドラッグストアの薬剤師が発明した ドクターペッパーが誕生 […]
小学校高学年から中学生になると、親よりも友達との関係が強くなる時ですね。 一生懸命勉強しているのに成績が伸びない、友達からの「可愛くないよね! あなたの目は小さい」と何気ない一言に傷つく、仲間に入れないなど・・。子どもが […]
略語(日本語・外来語) 日本人は長い日本語を短くするだけでなく、外国語をカタカナに置きかえた外来語まで短縮してしまいます。次の略語は本来どのような言葉か考えてみましょう。2つが組み合わさったものもあります。 1 労組 2 […]
このライフスタイルが健康にいい!この製品が便利! そんな主張をする人たちは世にあふれています。ところが、自らのその主張を盛大に反証して死んでしまった、まことに残念な人たちがいます。 セグウェイ社のオーナー、セグウェイ運転 […]
何か言ってもなかなか聞いてくれない。そんなことないですか? 「使ったものは片付けて」「物を出しっぱなしにしないで」そんな日常的なことだけれども、毎回毎回言っていると親の方が疲れてしまうし、なんでわからないのだろう…と思う […]
おすすめ記事
九州南部のとある漁師町。県全体の7割もの漁獲量を誇り、天然の良港に恵まれた町がある。最寄りの駅からは、峠を越えて、くねくねしたリアス式海岸沿いの道を車で走らせること30分。穏やかな海に囲まれた漁港のそばで、何隻もの漁船が […]
海外で暮らすと空気が読めなくなる…!? パックンに相談です。先日、5年間のアメリカ生活を終えて日本に帰国したのですが、海外生活が長かったせいか日本人特有の「空気を読む」ことが難しくなっています。会食中に「最後の一個残し」 […]
まるごとレモンでビタミンチャージ! ビタミンCの代表選手とも言えるレモン。レモンの爽やかな酸味と香りは、お料理を引き立たせてくれるだけでなく、風邪の予防など健康に嬉しい栄養素も含まれています。レモンは色々なお料理に使える […]
私は、所属しているU.S. armyからの辞令で、テキサスにある基地に転勤となり、2020年に3年の予定でコロラド州のデンバーからテキサス州コーパスクリスティに越してきました。コーパスクリスティはテキサス州で8番目の都市 […]
「頭金ゼロでも、利息が高いけど購入可能らしい」というのは本当ではありません。自宅購入の場合、頭金は最低3%必要。投資物件なら25%は欲しいところです。毎月の住宅ローンの支払いは、①元本と②利息、③固定資産税と④家の保険の […]
by サイラス・リュウイチ・トラン サッカーは、多くの人に開かれたスポーツです。私は、プロサッカーチームのないハワイで生まれ育ちましたが、幼少の頃からボールを必死に追いかけて、プロサッカー選手になる夢を叶えました。そして […]
新着記事
日本ではオレオレ詐欺などに代表される、電話を使った詐欺。アメリカにもいっぱいあります。むしろ頻度は米国の方が酷いかも?引っ越してきたばかりの頃は、状況が理解できず詐欺の被害に遭ってしまう方もいらっしゃるので注意が必要です […]
過日、ネットフリックスで『平家物語』のアニメを観たという知人の子供から「壇ノ浦ってどこにあるの?」と尋ねられて答えに窮した。歴史の散策探訪に興味があり、壇ノ浦合戦場の跡地にも実際に足を踏み入れている筆者がこれに即答できな […]
石田純一 1954年東京都生まれ。1972年NHKドラマでデビュー。80年代には、数々のトレンディードラマに出演し、絶大な人気を得る。ドラマや舞台、映画など多方面で活躍。2021年に始めたYouTubeチャンネル「じゅん […]
by ルーバル朋子 スペインの宣教師がカリフォルニアで最初のミッションを建てたことから、サンディエゴのオールドタウンはカリフォルニア生誕の地と呼ばれていることをご存知ですか? ミッションはカリフォルニアに21ヶ所建てられ […]
60歳をこえると、少しの風邪が平気で長引くようになる。発熱と咳、なかなか治らんなぁと思っていたら軽い肺炎だった。少し体調が良くなったかと思えば、今度は集中豪雨。海がしけては漁に出られない。体調と天候の悪化がかぶると、漁師 […]
女子神職として初めての祭事で失態を犯してしまった私は、当日はさすがに落ち込んだものの、そこから心身ともに逞しく成長していった。ある意味初めに失敗したことで、もう恐れるものは何も無いという気持ちになったのだ。 そのうち祈祷 […]
by Satsuki 仕事を辞めて駐在妻になる! そう決めたのは私自身なのに・・・ だんだん失っていく自信と自分に対するアイデンティティ。 これから先、私の人生はどうなるんだろう。 不安に押しつぶされそうになっていたのは […]
左右の絵では違うところが 10 個あります。全部見つけられるかな? 答え 問題に戻る
新型コロナウイルスは2023年現在、かつてのような深刻な脅威ではなくなっています。その理由の一つには、迅速なワクチンの開発があります。かつて多くの命を奪った病気を、ワクチンによって撲滅させた偉大な医学者を紹介します。 「 […]