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嫌がらせへの“最高の仕返し”

こころに響く言葉 Vol.07
嫌がらせへの“最高の仕返し”
by 古川 かつぜん

心が傷つくその前に

長年ネットの悩み相談活動を続けてきた中で、肌でひしひしと感じていることがあります。それは「本当に沢山の人が、悪意ある人の言動に苦しめられている」という事実です。イジメ行為、もっと細かく言えば悪口、陰口、嫌がらせ、マウント。そういった “悪意ある攻撃”をされたとき「倍返しだ!」とやり返したくなってしまうものですが、これはおススメできません。相手と同じレベルに自分の品位を落としてしまうことになるからです。今回のエッセイでは、悪意を受け流すための1つのヒントとなる物語をご紹介します。

お釈迦様と悪口男

お釈迦様に嫉妬している若者がいた。若者は、お釈迦様を汚い言葉で罵ってボコボコにしてやろうと考えた。自分の暴言によってお釈迦様が落ち込めばスッキリするし、お釈迦様がカっとなって言い返して来たら弟子たちからの信用を失うことになり、それはそれでスッキリする。そんな悪い妄想に心躍らせながら、その若者はお釈迦様のもとに行き、さっそくたくさんの暴言を吐いた。若者は、自分が用意してきたたくさんの暴言をお釈迦様に浴びせた。しかし、お釈迦様はうんともすんとも答えなかったのだ。それを見て悔しく思った若者は、今度は自分が考えられるだけのあらゆる暴言をお釈迦様に浴びせた。しかし、それでもお釈迦様はうんともすんとも言わなかった。若者は、虚しい気持ちになってきた。そして「自分はなんて性格が悪いクズなんだろう」という思いが。

そのとき、お釈迦様が初めて口を開いた。「誰かに贈り物をして、それを受け取ってもらえなかったら、その贈り物はどこへ返るのだろう?」若者は答えた。「そりゃあ当然、送った人のもとに返るのだろう」そう答えた瞬間に若者は「あっ!」と言って気づいた。

お釈迦様は若者に対して優しく言葉を発した。「いいかい。汚い言葉を吐いて結局一番汚れるのは、言葉を吐いたその人自身の心なんだ。汚い言葉を投げかけられたとき、それを受け取らなければ、それは相手のもとに返っていくんだよ」

受け取らなければ相手の元へ返っていく

「その悪意は受け取らない」というマインドセットを持つと、心は途端に楽になります。真面目な人ほど、人からの悪意を真正面から受け取ってしまい心がグサッと傷ついてしまう傾向があります。もちろん「自分にも非があるかもしれない」と一度省みることは大切な心構えです。しかし自分に非があろうとなかろうと「悪口や嫌がらせ」という人を貶める手段を選んでくる時点で、その相手の心がどこか病んでいるのです。

そして悪意は受け取らなければ、相手のもとへ返っていきます。この物語から分かるように「悪口を一番聞いているのは言った人自身」なのです。言うほど心が汚れていきます。さらに言えば、悪意ある行為をする人は確実に周りからの信頼を失っていき、そしていつの日か自滅します。そういう意味でも、悪意は受け取らなければ、相手の元へ返っていくのです。

精神的に受け取らず現実的な対策を取る

悪意は精神的にスルーして受け取らないことが大切です。しかし「実害」がある場合があります。その時は現実的に「悪意ある攻撃の証拠となる記録を取る」という対策を持つことです。この証拠が心強い武器になります。これをもとに信頼できる上司に相談して対処してもらうことも、法的に訴えることもできます。そして何より心の支えになる“自分の理解者や味方”を作っていけるのです。

Writer’s Profile

古川 かつぜん
古川 かつぜん
文筆家、ライフアドバイザー。著書「心の免疫力のつくり方」Instagramを通じて執筆活動を続けフォロワー10万人を突破。これまで5000人以上の人生相談に乗る。自身の学びと経験を活かし、世代を超えて共有できる「人生を面白くする考え方」を提供している。

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文筆家、ライフアドバイザー。著書「心の免疫力のつくり方」Instagramを通じて執筆活動を続けフォロワー10万人を突破。これまで5000人以上の人生相談に乗る。自身の学びと経験を活かし、世代を超えて共有できる「人生を面白くする考え方」を提供している。