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ハワイの風[ハワイ州]

50 Ways to U.S. 50州を巡る Vol.01
ハワイの風[ハワイ州]
by andytrade 写真家

 ハワイで一番好きなところはどこですか?と、漠然とした質問をよく受けるのですが、私はいつも「ノースショア」と答えています。コロナ禍で撮影の仕事が激減し、暇を持て余していることが多く、そんな時はドライブに出かけます。自宅があるホノルルからH-1に乗って北上、途中のワヒアワのお気に入りのカフェでコーヒーを飲んだり、その先のノースショアを散策したりしています。


  ワヒアワを越えてさらに北に向かうと、ドールプランテーション、そして、ハレイワに出ます。こじんまりとした、どこか懐かしさを感じる田舎の街で、気に入っています。時間がある時は更に北上し、ハイウェイ左手にあるエビの養殖場を眺めながら、北端のカフクまで足を延ばします。帰り道には、バンザイパイプラインなどのビーチでサーファー達を横目に、ノースの強烈な風を全身に浴びながら、裸足で波打ち際をぶらぶら歩きます。ちなみに私は、この散歩を「禊」と呼んでいます。なぜなら、溜まった心の垢をいつも吹き飛ばしてくれる気がするからです。

“More than a cup of coffee”がモットーのワヒアワのSurfers Coffee。

 夕方になると、ハレイワ近くのカイアカベイビーチパークへ。冬のハワイは雨がよく降るのですが、夕方には、かなりの頻度で虹が見られます。水平線を這うように移動する、ハワイの冬の太陽。雨上がりの西日を背中に感じながら、目の前には自分の長い影、そしてその先には、虹が見える絶景が広がります。自分の影を引き連れながら、公園を散策。だんだん影が薄くなり、日が沈む直前の僅かな時間、パワーストーン、「ポハク ラナイ」のシルエットがふっと浮かび上がります。ポハクラナイは、ハワイ先住民の故郷から流れてきた、霊力のある岩といわれています。


 私は、20年近く前に永住権抽選プログラムに当選し渡米。そして、最終的にハワイに流れ着いてきました。アラフィフの私ですが、いつもここで半生を振り返ります。脱サラして、フリーランスの写真家になったものの、このコロナ禍。経済的に苦しい状況が続いていますが、この一連の「禊」散歩を終えると、いつも根拠のないポジティブな気持ちになります。このハワイの風に身を任せて、なるようになればいい、と思う今日この頃です。

Writer’s Profile

andytrade 写真家
andytrade 写真家
セントクラウド州立大学卒。卒業後は日系商社勤務の傍ら、旅行雑誌の撮影、宣材写真などを手がける。脱サラ後は、ウエディング撮影の経験を積み2018年に独立。昨夏、東京にてハワイ大神宮をテーマにした写真展をDaisuke Ochiと共同開催。

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