
Hampton Roadsと聞いてピンとくる方はあまり多くないかもしれません。ワシントンDCから車で3時間、バージニア州南東部に位置するこのエリアは東海岸のちょうど真ん中辺り。場所柄、軍関係者とその家族が多く暮らす地方都市圏です。ここは海と川と入り江に囲まれているため、風光明媚な場所が多いのが魅力。娘の高校ではシニアの年が始まる夏の終わり、ビーチに日の出を見に行くのが恒例となっています。また一年を通して食や音楽、スポーツをテーマにしたイベントが開催され、博物館などの文化施設も充実しています。

比較的手頃な住宅価格と教育水準の高さに惹かれてこの土地に引っ越してきた私たちですが、実際住んでみると、州都リッチモンドやDC通勤圏(通称NOVA)ほど都会ではないものの、田舎でもなくちょうどいい。どこに行くにも避けられないトンネルと橋の渋滞にもいつの間にか慣れ、気づけば15年が過ぎてしまいました。
Hampton Roadsの観光地として有名なのは、一大リゾート地のバージニアビーチや植民地時代の歴史が色濃く残るウィリアムズバーグ。
一方、地元の人たちに人気があるバケーションスポットは、隣接するノースカロライナ州のアウターバンクスです。セカンドハウスを所有する人が多く、夏の宿泊先予約は争奪戦必至。道を走っていると頭文字のOBXステッカーを貼った車をよく見かけます。ちなみに全国展開しているDuck Donuts発祥の地でもあります。
ビーチにあまり興味がない私の楽しみは、免許を取った娘とのドライブ。スポーツ観戦やB級グルメを求め、時には州外まで出かけます。NOVAを訪れると必ず寄るのがメキシカンレストランのDistrict Taco。グリルした白身魚とオリジナルのコールスロー、スパイシーなマヨネーズのコンビネーションが絶妙で、病み付きになる美味しさです。


州内で行ってみたいのは、NASAの宇宙飛行センターとして運用されている、イースタンショアのワロップス島。観光地としてはあまり知られていない穴場スポットです。180キロメートル離れている我が家からは米粒程度にしか見えないロケットが、間近で打ち上げられる瞬間を見たいと思っています。
都会と田舎、両方のいいところが楽しめて、歴史や自然、グルメも満喫できるバージニア州。DC観光に来たら、是非バージニアにも足を延ばしてみてください。
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