
ミズーリ州はルート6 6 誕生の地で、ミズーリ州セントルイスとスプリングフィールドの間にはオセージ・インディアン・トレイルと呼ばれるネイティブ・アメリカンの古い道が通っていた。西部開拓により町が切り拓かれ、この道に沿って電報線が引かれ、この古い道はワイヤー・ロードと呼ばれるようになった。その後、1922年にはミズーリ州道14号線となり、後にアメリカの歴史に残るルート66となった。
そんなミズーリ州のルート66沿いは、単なる道路ではなく、小説や映画の舞台や音楽の題材にもなり、ポップカルチャーに影響を与え、年代物のモーテルやノスタルジックな古き良き時代の魅力あふれる建物や品物が今もたくさん残っている。

さて、カーセージのドライブ・イン・シアターから南西に20㎞ほど走ると鉱山の町ジョプリンのダウンタウンがある。ここで壁画公園の1つであるルート66ミューラルパーク(Route 66 Mural Park)に立ち寄るプランがお勧めだ。ここには、上下に描かれた2つの大きなタイルの壁画“Cruisin’ into Joplin”と、赤いコルベットの半分が壁に埋め込まれた“The American Ribbon”があるので記念撮影を忘れずに。
ジョプリンの街中にある壁画を堪能したら、ルート66から4㎞ほど南下して、大恐慌時代のアメリカ・メディアを騒がせ後世に名を残した無法者、映画「明日に向かって撃て」で有名になったボニー&クライドが1933年4月1日~13日までの間、潜伏していた隠れ家へ行ってみよう。、


ボニー&クライドは禁酒法と世界恐慌のもと、その憂さを晴らすようにアメリカ中西部で銀行強盗や殺人を繰り返し、ルイジアナ州で警官隊によって射殺されるまで、沢山の殺人に関与し、数え切れないほど多くの強盗を犯した、実在のカップルである。
彼らの、凶悪な犯罪者であるにもかかわらず、金持ちから奪い貧乏人からは巻き上げない義賊的な姿勢は、新聞も含めて英雄視する者も多かった。
そんなボニー&クライドと仲間が借りていたジョプリンにある隠れ家は、警察官に踏み込まれ、壮絶な撃ち合いが行われ、映画の中でも見せ場のアクション・シーンとして描かれている。建物は修復されたが、撃ち合いの際に警察官の拳銃から放たれた銃弾の痕が生々しく残されたままなのが印象的だ。
隠れ家からルート66へ戻り、ミズーリから、ルート66の8州中で最も短い距離でありながら全てバイパス化され完全に舗装されている唯一の州、カンザスへ。
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