by オーラリー美紀

私の住むサウスカロライナ州チャールストン、日常の風景といえば、州のシンボルツリーであるパルメットヤシがよく目に入ります。そこら中にゴルフコースがあり、周囲の木々には、エアプランツのスパニッシュモスがゆらゆらと風に揺れています。鹿、リス、うさぎ、ラクーンにアルマジロ、池を覗けばワニに亀…それらの動物に出くわすことは日常茶飯事で、越してきた当初は動物園の中に住んでいるような気分になったものです。

サウスカロナイナを語る上でチャールストンダウンタウンは欠かせません。ここはしばしばアメリカ人気№1観光地にも選ばれる歴史深い街です。1600〜1800年代に建てられた古い教会や建物、石畳の道、「レインボー通り」と呼ばれるカラフルな邸宅のある街並みを、馬車に乗って楽しむこともできます。
1860年南北戦争の始まりの場所「サムター要塞」へは、フェリーで行くことができ、より深く歴史を学ぶことができます。お土産を買うなら1807年に設立されたチャールストンシティマーケットへ。当時は港町の市場として栄えていましたが、現在は伝統手工芸品のスイートグラスバスケットや、地元アーティストの作品等が購入できる、観光客で賑わう場所になっています。
また、キングストリートへ行けば、メジャーなお店が揃っているのでショッピングもできますし、お腹が空いたら、地元グルメも楽しみましょう。シュリンプアンドグリッツ、牡蠣、ビスケッツ、バーベキュー、(ガムシロップ並みに甘い)スイートティー、とうもろこし・海老・ソーセージ・ジャガイモを一緒に茹でて豪快に食べるフロッグモアシチューなどなど…! 肥沃な大地と海の恵みがあるからこそ楽しめるメニューがここには沢山あります。


2019年―世界がロックダウンされる少し前―アメリカ人である夫の転職を機に、当時4、2、0歳の、3人の子供たちを連れて日本から移住してきました。まだ幼い子どもたちと、初めての異国での生活。ただでさえ不安な状況の中、世界は突然謎のウイルスで大変なことに。でも子供たちには、大人たちの心配や世界情勢などは全く関係なし! 半径5メートル以内で楽しいことを探します。幸いここにいれば、特別どこへ出かけずとも、庭を歩いている雁の家族を観察したり、池にいたワニや亀を見ているだけで退屈することはなく、十分楽しかったのです。
何百年も前から、いつもそこにある自然は「大丈夫だよ」と、私に手を伸ばし、語り掛けてくれているようでした。不安な世界状況の中にありながらも、私はサウスカロライナの豊かな自然に、幾度も癒され、救われてきたのです。
‘While I breathe, I hope.’ 息をしている限り、希望をもつことができる。私の大好きなサウスカロライナ州のモットーです。年間で晴れの日数は300日以上、気候が温暖なせいか、人々も陽気で親切な人が多いように思います。是非、機会があれば一度訪れてみて下さい。
Writer’s Profile

オーラリー美紀
山口県出身。大学卒業後、求人広告出版会社で8年間勤務。まさかの米国人と国際結婚し、渡米。現在はミックスキッズ3人育てながら、ここで何ができるのか模索中。ジブリ好き。観葉植物好き。 筆者ブログはこちら
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