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生粋Japanese ゆうの米国就職Tips

シメキリ or ハラキリ

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生粋Japanese ゆうの米国就職Tips Vol.03
シメキリ or ハラキリ
by ゆう
生粋Japanese ゆうの米国就職Tips

サンフランシスコに赴任して間もない頃。僕のチームのメンバー全員(みんなアメリカ人)に、ちょっとした作業を依頼しました。ファイルサーバーの整理のために、各自のファイルを所定のフォルダー配下に移動しておいてね、という簡単なものでした。集中してやれば5分ぐらいで終わる作業です。

特に急ぎの作業ではなかったので、一応2~3日ぐらいの余裕を持たせて、締切(Deadline)を金曜の14時までと指定しました。まあ、みんなすぐにやってくれるだろうという期待を抱いて…。

ところが、です。金曜の14時になって、所定のフォルダを覗いてみてびっくり。なんと、誰一人としてファイルを移動していないじゃないですか!しかも、誰からも「遅れます」という連絡すら来ていませんでした。

これには非常にショックを受けました。原則、締切は必ず守る。そして、もし締切に間に合いそうにないことが判明したら、即座に報告して指示を仰ぐ。これって、新卒研修で誰もが教わる、社会人の基本動作じゃないですか?

「こんなこともできないなんて、アメリカ人は何てレベルが低いんだ!」正直そう思いました。ところが、よくよく彼らと話してみると、日本とアメリカの、締切に対する考え方の違い(あるいは、締切という言葉とDeadlineという言葉の違い)が分かってきました。

僕が考える締切とは

  • 絶対に守らなければならないもの
  • 自分ではコントロールできないもの

というものでした。ところが、彼らにとっての締切(Deadline)とは、どうやら

  • 「だいたいそれまでに終わらせればよい」というざっくりとした目安
  • 自分が優先度が低いと判断すれば守らなくてもよいもの

というもののようでした。

Deadline(=死線)という何とも仰々しい名前がついているのに、そのイメージは日本の締切と比較してかなりゆるそうです。

そこで僕は、アメリカ的なざっくりとした目安の意味として使う場合にはDeadlineを、日本的な絶対に守って欲しい締切の意味として使う場合には Shimekiriを使うようにするよと、チームメンバーに宣言しました。「Shimekiriを守らなかったらHarakiriだよ」みたいに笑。これが功を奏したのか、それ以降Shimekiriが破られることは無くなりました。

似たような概念の言葉であっても、その意味するところがニュアンスも含めて完全に一致することはまずありません。コミュニケーションに行き違いを感じたら、一度言葉の定義に立ち返って確認してみると、解決の糸口が見つかるかもしれません。

Writer’s Profile

ゆう
ゆう
2013年に日本企業の駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの、赴任先の支社が閉鎖に。半年間にわたる就職活動の末にAmazonシアトル本社に転職したことを機に、アメリカ就職に関する発信活動を開始。
ブログ:本気のアメリカ就職 を運営する傍ら、講演や大学のゲスト講師など活動の幅を広げている。

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