
「お疲れ様です。ゆうです。昨晩より頭痛と高熱が続き、出勤が非常に難しい状態のため、大変申し訳ありませんが、本日はお休みさせていただきます。本日午後病院で診察を受け、診察結果は改めてご報告いたします。本日予定していたミーティングは全てリスケさせていただきます(後ほど個別に案内を送らせていただきます)。もしも急ぎの用件があれば、メールまたは携帯電話に連絡をいただけると幸いです。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。」
日本で会社を休む際の連絡メールは、だいたいこんな感じでしょうか。体調が悪い中、こんな長いメールを送るのはなかなかにハードですよね。ちなみに僕が若手の頃には「欠勤の連絡は電話で行うのがマナー」みたいな謎ルールがありました。さすがにそんな嫌がらせとしか思えないような意味不明なルールは令和の現代では無くなっていると信じたいですが、どうなんでしょうね。
話をメールに戻します。アメリカ人が体調不良で会社を休むときのメールは、だいたい次のような感じです。
「Feeling a bit under the weather,taking the day off」
理由が書いてあればまだ良い方で、単に「OOO today」とだけ送ってくる人さえいます(OOO = Out Of the Office)。程度の差こそあれ、日本のメールと比べて遥かに簡潔に書かれていることが分かります。
日本での社会人生活を通して、日本流の”丁寧な”ビジネスメールの書き方を仕込まれてきた僕は、渡米当初はアメリカ流のぶっきらぼう(と当時は感じられました)なメールに非常に驚きましたし、「ビジネスの基礎がなっとらん!」と、アメリカ人部下に丁寧なメールの書き方を指導したりさえしました(すぐに諦めましたが笑)。
しかしよくよく考えてみれば、同じ内容(病気で休む)を伝えるならば、文面は短い方が書き手にとっても読み手にとっても負担が少なくて良いはずです。そういう意味では、アメリカ流の短いメールの方が、読み手に対する配慮ができているとさえ言えます。
「人間は考える葦である」のフレーズで有名なパスカルは、友人に宛てた手紙の中でこう言ったそうです。「短い手紙を書く時間が無かったので、長い手紙を書いてしまいました」と。本来なら長い文章を短くして分かりやすくすべきなのに、要約する時間がないから長いままになってしまいました、という意味ですね。
日本人は「長い文章こそ心がこもっていて良いものである」と考えがちですが、本当に相手のためを思うのならば、文章はできるだけ短くすることを心がけた方が良いのかも知れません。まあ、アメリカ人が本当にそんな崇高な気持ちで短いメールを出しているかどうかは定かではありませんが笑。
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