
“I’m happy to announce that I’m starting a new position at xxxxx”
LinkedInを開くと、ほぼ毎日のようにこんな転職報告メッセージを目にします。アメリカ人は転職に対する抵抗感が極めて希薄で、自動車を乗り換えるような感覚で転職します。いや、下手したら自動車を乗り換えるよりも高い頻度で転職します。ある統計によると、アメリカ人は生涯で平均11回転職するそうです。
一方、日本の転職事情はというと、最近はだいぶ転職も一般的になってきたとは聞きますが、転職に対する抵抗感はまだまだ根強く残っているようです。特に伝統的な大企業でその傾向が強く、退職者は裏切り者呼ばわりし、転職回数が多いことを理由に採用候補者を書類選考で落としたり、以前辞めた社員がまた同じ職場に戻ってくる、いわゆる出戻りを禁止したりしている企業もあるそうです。
この違いはどこから来るのかというと、日米のキャリア形成の仕方の違いから来るのではないかと思っています。日本の一般的な企業では、社員は新卒一括採用後、新卒研修を経て職場に配属され、社内で様々な部門・職種を経験してキャリアを積んでいきます。企画部門からIT部門へなど、いきなり畑違いの部門に異動させられることもざらです。キャリアの軸は会社で、その軸を中心に部門・職種をぐるぐる回って経験を積み、上に上がっていくイメージです。
一方アメリカの場合は、日本のようにキャリアの途中で職種が変わることは稀です。一度エンジニアとしてキャリアをスタートした人は生涯エンジニアだし、人事であれば生涯人事として、自分の専門性を高めていきます。今の会社でこれ以上キャリアアップするのは難しいと感じたら、躊躇なく他の会社に転職します。キャリアの軸は会社ではなく職種で、職種を変えるのではなく会社を変えながら、様々な経験を積んで専門性を高め、上に上がっていくイメージです。
アメリカでは転職は基本的にポジティブなことと捉えられていて、転職して会社を去る際にも「おめでとう! またどこかで一緒に働けるといいね!」と言って送り出してもらえます。実際、元同僚とまた一緒に働くことになることは決して珍しくありません。日本だと辞意を伝えても引き止め工作にあったりしてなかなか辞めさせてもらえない、みたいな話も聞きます。僕もアメリカに来て間もない頃は、辞めようとする部下を何とか引き止めようとしていましたが、今は「おめでとう!またどこかで一緒に働けるといいね!」と言って気持ちよく送り出すようにしています。またいつどこでリファラルをお願いすることになるか分からないですからね!
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