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夏休み、子連れ駐在家族のオススメ観光地はここ!

駐夫として暮らした米国 Vol.11
夏休み、子連れ駐在家族のオススメ観光地はここ!
by 小西一禎
駐夫として暮らした米国

いずれは本帰国する日が訪れる駐在ファミリーにとって、楽しみの一つは旅行だろう。米国には、魅力的な観光地が星の数ほどある上、日本からは中々行きにくいエリアにも、米国からなら簡単に足を延ばせる。滞在期間が限られた、かけがえのない米国生活で、どこを訪れるか。3年3カ月に及んだわが家の経験を踏まえて、いくつか紹介してみたい。

「どうして、ゾウさんやキリンさんはいないの」。渡米して初めての旅行はアラスカだった。広いデナリ国立公園をバスで回り、ムース(ヘラジカ)やクマが闊歩する中、日本の動物園しか知らない5歳の長女、3歳の長男は「野生」の意味が分からず、不思議がっていたのだ。日常では経験できないスケールを味わい、頭と体を使って学びを得る「旅育」につながったと今でも思う。

モニュメント・バレーを眺める筆者と子どもたち(2019年夏)

最初の行き先にアラスカを選んだ理由は、東海岸から最も遠い陸続き州だからだ。初期に長時間フライトを体感させれば、その後はどこに行っても近く感じるであろうという私の目論見は、正解だった。飛行機や車での移動中も飽きずに、2人で仲良く遊んでくれていた。

翌年の夏は、グランドサークルを一周するキャンピングカー旅行にした。東京モーターショーで目にした5歳からの悲願を叶え、連日楽しく運転した私に対し、家族の反応はイマイチ。子どもは「岩ばかりの景色でつまんない」、妻は「何で旅行なのに、朝晩ご飯を作らなきゃいけないの」。自炊が必要なRVパークに泊まったため、バカンス気分が吹っ飛んだのだった。

普段通り私が担おうとも思ったが、巨大な車の運転は想像以上に疲れが溜まる。アラスカで家事が免除される喜びを知ったゆえに、妻には悪いことをした。グランド・キャニオンの絶景、「フォレスト・ガンプ」などが撮影されたモニュメント・バレー、「カーズ」の世界そのままのルート66、太陽光が降り注ぐアンテロープキャニオンの奇形など、全てが心に刻まれている。

他に飛行機で行ったのは、オーランド、バハマ、アイスランド。結婚式参加で訪れた6回目のハワイは、今までで最もワクワクしない、残念な旅だった。単なる国内移動に過ぎず、両替の必要もなし。米大陸本土にもあるターゲットや各ファストフードも普段から利用しており、むしろ日常生活を思い出してしまう。日本から行った方が、100万倍楽しめるに違いない。

ロードトリップでは、ナイアガラをはじめ、首都ワシントン、ボストン、北部メイン州などを訪ねた。いったん高速道路を走り始めると、同じ3時間でも日本とは比較にならないほど、米国では遠くまで到達する。ところが、全米の地図を見ると、移動距離はわずか数センチに過ぎない。思ったほど走っていない気分にさせられるとともに、25倍もの広大な国土を痛感した。

コロナ禍の3年目は、混雑を避け近場でのキャンプを重ねた。刻々と変わる各州の入境規制を確認しながら、ロードトリップ日程を組み立てた。在米中、行きたい所は出費がかさんでも訪れたかったが、未踏破大陸の南米をはじめ、キーウェスト、米南部、欧州大陸、ディズニークルーズに行けなかったのは残念でならない。

ところで、帰国時に8歳だった長女は、幾多の旅行経験を覚えているものの、6歳で帰国した長男は「覚えていない」の一言。まぁ、そんなもんである笑

Writer’s Profile

小西一禎
小西一禎
ジャーナリスト。慶應大卒。元共同通信社政治部記者。17年、妻の米国赴任に伴い休職、渡米。在米中退社。米コロンビア大客員研究員を歴任。各メディアへの寄稿・取材歴多数。「世界に広がる駐夫・主夫友の会」代表。
Twitter:chu__otto
Instagram:ponpyonpyon

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ジャーナリスト。慶應大卒。元共同通信社政治部記者。17年、妻の米国赴任に伴い休職、渡米。在米中退社。米コロンビア大客員研究員を歴任。各メディアへの寄稿・取材歴多数。「世界に広がる駐夫・主夫友の会」代表。